一言で言うと「生命力のある触媒」で全ての生物の生化学反応に関係します。
栄養学ではタンパク質、糖質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、水を7大栄養素と呼んでいますが8番目にフィトケミカル(植物に存在する化学物質)そして、9番目の栄養素が「酵素」と考えています。
酵素が、他の栄養素と違うのは栄養素を分解して、運搬したり、触媒的な役割を持つことです。
酵素を家の建築に例えると、栄養素は「資材」、酵素は「大工さん」。
資材があっても、大工さんがいなければ家は作れません。
そして、炭水化物を分解する酵素はアミラーゼが担当というように
働く役割が決まっていて、体内には13000種以上の酵素が存在すると言われています。
一般的に皆さんに知られている酵素の種類は3つ。
人間の体内にある酵素は「体内酵素(消化酵素と代謝酵素)」、人間の身体以外の生物に存在する
酵素を「体外酵素(食物酵素)」と言います。
体内酵素
「体内酵素」の働きは大きく二つに分けられます。
- 1.消化酵素
- 簡単に言うと、食べたものの消化・吸収をお手伝いする役割をもつ酵素。
「消化酵素」は食物に含まれる三大栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂肪)を、
補酵素の協力のもと腸壁から吸収できるように小さな分子まで分解し、吸収しやすくします。
・アミラーゼ・・・デンプンを分解してブドウ糖に分解する唾液に含まれる酵素
・プロテアーゼ・・・胃液に含まれ、タンパク質をアミノ酸に分解する酵素
・リバーゼ・・・すい液に含まれる脂肪を脂肪酸に分解する酵素
- 2.代謝酵素
- 代謝酵素とは、一言で言うと、生命活動を維持する化学反応に必要な酵素。
腸壁で吸収された栄養分子をエネルギーに変える働きをし、細胞内で常にベストなバランスを保てるように働く酵素で、人間の生命活動のありとあらゆる作業に関与します。
例えば、血液を作る、心臓を動かすとか、皮膚や筋肉を作る過程においても必要とされる酵素で
さらには、ウィルスやガンといった異物に抵抗する免疫システムを強化したり、解毒・排泄などにも欠かせない働きをしてくれる重要な酵素です。
体外酵素(食物酵素)
その名のとおり、体の外から食べ物などを通じて取り入れる酵素の総称です。
食物酵素とも呼ばれ、私たちが普段口にする食物に含まれており、消化酵素が浪費されないように
手助けをしてくれます。
酵素の不足が老化や肥満、健康不良を引き起こす
細胞の中には無数の酵素が存在し、休む間もなく代謝作業と消化作業を繰り返しています。
その細胞にある酵素を潜在酵素と呼びますが、その酵素量(生産量)は一定量しか作れず、
さらには年齢と共に減少していきます。
また、代謝が落ちると老化だけでなく、体調不良や肥満を引き起こすことはご存知ですよね?
これは、一つの原因として、消化酵素を使いすぎた結果、代謝酵素の不足に繋がり、代謝が
円滑に進まなくなったことが考えられると言われています。
体内酵素はそれぞれ色んな働きをしますが、代謝よりも消化を優先するという性質があるので
体内の代謝を円滑に行うためには消化酵素を節約し、代謝酵素を十分に作る必要があります。
消化酵素を浪費しなければ体内の代謝作業がスムーズに行われるというわけです。
つまり、上の図をわかり易く置き換えると、こんなことが体の中で起こっているわけです。
食物酵素で代謝活動をサポート
体外酵素の役割は体内酵素の浪費・減少を抑えてあげること。
自分の体の中でできた消化酵素を使うことなく、消化活動を行うように手助けしてくれる酵素です。
消化に良い食物や酵素をしっかり含んだ食事をし、ちゃんと消化してあげれば体内酵素の多くを
代謝酵素に回すことができるので、しっかり代謝活動を行い、バランスの良い状態でいられるんです。
食べ過ぎや偏った食事を見直し、時には外部からバランスの良く酵素を取り入れることで
代謝活動をサポートし、健康的な若々しい体を維持しましょう。
参考文献:NPO法人 鶴見酵素栄養学協会